「小学校と保護者の関係を多角的に」
代表理事 永岡 宏昌
(2001年9月・会報第16号より)

担任との接点はなく、小学校における保護者の役割は労働力の貢献
当会がヌー、ムイ郡で協力している小学校の教室建設事業には、保護者が熱心に参加しています。参加の形は、膨大な数の石・砂やレンガなど地域で入手可能な資材集めです。毎週1回、保護者が学校に集まって、施設拡充のための労働を行なうという既存の制度をもとに、これらは実施されています。視点を変えて、その打ち込んでいる姿をみると、子どもの教育のために強制労働にかりだされている、ともいえそうです。

一方で、日本で行なわれている授業参観や担任の先生との保護者面談、家庭訪問などはみられません。学校との関係は、管理責任者である校長との関係に限定されています。子どもの教育について、担任など一般の教員と話し合える制度がないようです。保護者に求められる役割は、学校の運営経費の負担と、教室建設など施設拡充への金銭と労働力での貢献のように思えます。

環境と教室建設の協力活動によって両者の関係を多角的に
当会は、小学校への協力活動を通じて、この小学校と保護者との関係を多角化することをめざしています。現在、環境事業では、学校菜園や苗木畑の開設や植林などの活動を通して子どもたちの教科理解と環境意識の向上をはかっています。多角化の例として、この事業の運営について保護者と一般教員が話し合う場をもつことがあげられます。そこでは、自然環境や特定種子の発芽など地域固有の知識を、保護者から教員へ伝えることに取り組めると思われます。また、事業の一環として実施した理科研究発表会は、子どもたちが教育関係者などとともに保護者にも成果を発表する機会となりました。

教室建設事業の例では、セメントなどの外部から購入する建設資材の管理があります。これまでは校長に権限と責務が集中しがちでしたが、保護者にも共同の権限と責務があることを明確にするようにしています。それによって、保護者が校長に従属しない関係の確立につながるように、協力しています。

例にあげた活動などで保護者が実質的な参加を果たすことによって、教育への熱意があがっていくことを期待しています。それが小学校教育全般に反映され、教育環境の改善に貢献すると信じています。


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