特定非営利活動法人アフリカ地域開発市民の会

2008年度(200811日〜20081231日)

活動報告

 

 

1.2008年度活動概要

当会は、19979月よりケニア共和国に日本人調整員を派遣し、東部州ムインギ県ヌー郡及びムイ郡において、地域住民自らが規定する「豊かさ」を達成する社会をめざし、住民の社会的能力向上を目的とした、総合的かつ持続可能な開発事業を実施している。本活動は、教育・保健・環境保全を統合する総合開発活動であり、この3分野での活動実施にあたって、地域住民の社会的能力向上をめざして、地域住民主導による事業形成と運営、地域住民・行政・当会の均衡のとれた協力関係の維持を共通する活動方針としている。また、事業を展開するなかで、それぞれの小学校(学校)と、通学する村々の集まり(地域)を「学校地域社会」という単位としてとらえ、学校から地域への知識・技能の波及、地域から学校への参加と監視など相互作用が、学校地域社会における総合開発の重要な要素と分析している。このため学校と地域社会それぞれに直接働きかける事業を並行して実施する。さらに、近年の対象地域でのエイズ問題に対する危機感・恐怖感の高まりに対して、対処意欲・能力を高めるためのフォーマル・ノンフォーマルなど様々な形でのエイズ教育も実施している。

 

2008年度は、当会のケニアにおける活動実施に携わった日本人は15名であった。ケニア人については、常勤者7名を雇用した。また、建設・教育・環境・保健の各分野の専門家9名とコンサルタント契約を結び、質の高い事業実施を目指した。

 

施設拡充では、グニ郡3校での教室建設が完成した。また、初等無償義務教育が定着する中で、小学校までの通学距離が遠く、必ずしも全ての子どもが学校に通っていない辺縁地に、小さな新設校が設立されており、それらを中心に当会との教室建設を希望する学校が資材収集を開始した。

 

小学校教員へのエイズ教育トレーニングは、2007年度に引き続き、第1課程・第2課程を繰り返し実施し、グニ・ムイ・ヌー郡の殆どの学校を訪問して、エイズ教育についての意見交換、トレーニングへの参加意欲の向上につなげることができた。

 

地域住民への保健・エイズ教育では、長らく懸案としていた男性住民への基礎保健トレーニングをグニ郡で実施した。エイズへの危機意識と対処意識との乖離から、一般住民が参加を躊躇する傾向が強いエイズ学習会について、村の公的リーダーである村長老との関係づくりをし、当会が提案して村長老と共催する公開学習会を新たに形成した。また、学習会の内容として、エイズばかりでなく、安全な妊娠・出産のための情報を提供する母性保護も取り扱い始めた。

 

幼稚園教師へは、グニ郡での保健トレーニングと子どもの成長の記録作りなど保健活動のための関係者会議を実施した。ヌー郡・ムイ郡では、多くの幼稚園で成長の記録作りが定着していることが確認された。

 

環境では、グニ郡・ムイ郡で、村レベルでの固有のニーズの理解に努め、それに対応する環境保全・栄養・健康に関わる技術情報の提供を行なった。

 

なお、2007年末の総選挙に関連して、ケニアの社会状況が大きく混乱したが、ムインギ県では、政治・治安状況も安定しているため、2008年度の事業も順調に実施した。

 

休暇中の高校生を対象にしたナイロビのムクル・スラム群での補習授業は、総選挙後騒動の影響で4月は中止したが、8月・12月は実施した。

 

 

2.教育事業:教室建設・補修(グニ郡)

2007年度より保護者による建設作業が進んでいたゾウニ小学校で60人の生徒用「1教室+1基礎」の教室建設が完成した。その後、同校では、ケニア教育分野支援計画(KESSP)の支援を得ながら、保護者により自律的な教室建設が引き続き進められた。また、2007年度より保護者による現地資材の収集が進められていたムルカ小学校とムリンデ小学校で、保護者総会をへてそれぞれ1教室+1基礎の教室建設が開始し、ムルカ小学校でほぼ完成し、ムリンデ小学校で完成した。

 

教室建設協力対象校の追加に関しては、グニ郡で、初等無償義務教育が定着する中で、小学校までの通学距離が遠く、必ずしも全ての子どもが学校に通っていない辺縁地に、小さな新設校が設立されている。それら新設校は、教室のニーズが高いにも拘わらずKESSPによる教室支援対象となっていないことから、教室建設に関する実施可能性調査ならびに保護者総会に参加して、建設事業実施の意思確認をそれぞれに行ない、新設のシュノー、ゴーニ、カムララニの3小学校と、既存の小学校で建設のニーズが高いにも拘わらずKESSP支援から除外されているウカシ小学校の4校を協力対象候補校とした。それらの学校で現地資材の収集が開始された。また、これら新設小学校は、保護者数が少なく、現地資材収集が当会の既定の建設マニュアルに応じた現地資材量を収集することが、困難であるため、現地資材収集の難易度や土壌の質などの状況を分析し、個別に対応する建設仕様・工程の再考を行ない、各小学校に提案した。

 

 

3.幼児育成(ヌー郡・ムイ郡・グニ郡)

(1)ヌー郡・ムイ郡

ヌー郡、ムイ郡において、これまで継続してきた幼稚園での保健活動への協力を継続し、幼稚園における成長記録活動のための記録用カード配布を2008年度も実施した。

 

また、ヌー・ムイ教育区の幼稚園教師を対象とした幼稚園におけるエイズ教育トレーニングを実施した。2日間のトレーニングをヌー・ムイの各2準教育区において計4回実施し、合計58人が修了した。トレーニングを通して、エイズに関する基礎的な科学的知識を提供し、また地域における幼児のおかれている状況について話し合いをもち、そのうえでエイズに関して幼稚園でどのような取り組みができるのか、具体的な案を参加者に提案してもらった。授業のなかで、歌を使って刃物の扱いに関する注意を促した例や、保護者にエイズと子どもが置かれているリスクについて働きかける例などがあげられた。

 

(2)グニ郡

幼稚園教師を対象にした5日間の保健トレーニングを各準教育区において1月および3月に実施し、39名の教師が修了した。トレーニングでは、幼稚園教師の保健面での能力の向上と、保護者への助言、幼稚園における保健活動の促進を行なった。

 

また、幼稚園関係者である小学校校長、幼稚園保護者代表、幼稚園教師を対象に、1日間の関係者会議を各学区で計7回実施した。子どもの健康と適切な発達の重要性、それに不可欠な保健、栄養、教育面の要素について、ファシリテーターが講義を行った上で、関係者同士が協力しながら、子どもの発育に関わる活動の実践として、子どもの体重の推移を記録し健康管理に活用する活動の手法と記録用の健康カードのつけ方のトレーニングを行なった。また、参加した幼稚園に対し、成長の記録カードの配布をおこない、さらに申請書に基づき体重計を供与した。

 

 

4.環境保全(グニ郡・ムイ郡

(1)小学校での環境活動

ムイ郡では、校長会で事業実施が合意された後、小学校における環境保全に関連する活動の状況を把握するため、ムイ郡の小学校を訪問した。複数の学校は何らかの活動を過去に経験していたが、その多くは外部からの促進要因で実施され、外からの動きがなくなると停止されるという傾向がみられた。当会の協力についても終了後の持続可能性を確保することが困難と推察され、その方法を内部で検討するにとどまった。

 

グニ郡においては、ムリンデ学区の小学校での活動形成を働きかけたが、ムイ郡と同様の状況がみられた。

 

(2)地域住民への取り組み

グニ郡では、環境活動の取り組みの一環として、小規模で住民により管理しやすい水源管理の事例として、住民グループが自律的に活動している、涸れ川の河床を掘り起こした簡易井戸の建設に資材協力した。

 

ムイ郡では、行政関係者と共に事業開始のための話し合いと合意形成を終えた後、事業の中核となると考えていた当会基礎保健トレーニング参加者グループの活動を確認する村訪問を行なったところ、その多くが時間の経過と複数の要因から活動を停止していることがわかった。そこで、グループに限定せず、ムイ郡の中で環境劣化や貧困化などの問題の取り組みを考えた際に、比較的優先順位が高いとみられた辺縁地域に対して、半乾燥地という気候条件と、近年の降雨量の変化に適応してゆくための生活づくりに貢献するため、必要と観察された技能や知識の提供および、継続的な訪問を通しての彼らの実生活への活用を促進した。各地域にて住民と話し合いをする機会を持ち、その中から必要とされる知識、例えば地域で入手可能な資源を利用した土壌改善・土壌保全や、軽視されがちな野生野菜の活用と保存方法などを提示し、干ばつという厳しい条件下においても、将来的な状況改善を視野に入れた住民の努力が確認されている。

 

5.保健事業(ヌー郡・ムイ郡・グニ郡)

5−1.小学校での教科と関連するエイズ教育

2007年に実施・確立してきた小学校教員対象エイズ教育トレーニング第1課程及び第2課程を、2008年度も改訂を重ねつつ繰り返し開催し、教員の参加を促進することで、3郡内でさらに多くの教員がエイズ教育を実践していくための具体的な技能と態度を身につけることを促進した。

 

第1課程では、理科を主題として扱うことで、すべての教科で扱われているエイズの理科的知識を、理科教員のみならず全ての教員が身につけ、かつエイズ問題をとらえる基本的視点を教員が獲得することをめざした。さらに、どのように子どもに必要なことを教えられるかを教案づくりとモデル授業の発表を通して実践した。また、理科の教科書で扱われているエイズの基本的な知識だけでなく、エイズ問題のもつ社会的側面について、地域固有の問題や子どもたちが具体的に直面している問題に配慮して、全教科において、低学年から適切に教えていく必要性を共有した。

 

2課程では、小学校低学年におけるエイズ教育に焦点を当てた。エイズ教育のなかで、高学年の理科において、HIV感染経路や感染予防、エイズ発症過程など理科知識を体系的に教えるが、その前段階である低学年においては、スワヒリ語や英語など言語科目のなかで、エイズ問題の様々な側面を題材として取り扱っている。それら題材を分析しても、学習者にエイズへの恐怖心を植え付ける結果につながる記述が多い。エイズが日常化している対象地域においては、「エイズを避ける」行動様式を身につけても、感染経路や感染予防の具体的な方法を理解していなければ、依然、感染リスクは高いものと思われる。さらに、恐怖心をもつことによって感染者や感染を疑う人々を社会的に排除しようとする行動が誘発される。このような点から、教員がエイズ問題について豊富な理科的知識とともに、社会的側面について地域社会や子どもたちのおかれている実情に即して適正に捉える視点を獲得し、授業を実践することが重要である。この低学年におけるエイズ教育の重要点である、高学年でエイズを体系的に学んでいく前段階として、子どもたちがエイズに対する適切な態度を身につけること、日常の授業の中で子どもの理解度と現実に合わせて実践していけるようになるため、教案作成やモデル授業も取り入れたトレーニングを実施した。

 

トレーニングでは、特に若い教員の参加意欲の高さが特徴として観察された。2008年度は、ヌー・ムイ・グニ郡で合わせて、第1課程を60名が、第2課程を39名が終了した。

 

教員トレーニングの実施とともに、各学校でのトレーニング受講教員によるエイズ教育の実践状況を確認し、子どもたちのライフスキル向上につながる日常的なエイズ教育が実践されていくことを促進するため、ヌー・ムイ・グニ郡内の一部の新設校を除くほぼすべての小学校を訪問し、聞き取りおよび専門家からのエイズ問題に関連する助言の提供を行なった。訪問では各校でエイズ教育の実践事例が収集され、また当会との話し合いを通じ、学校での保護者および教員を対象としたエイズ学習会への申請もあげられ、2校で実施に至った。同時に、トレーニングに参加していない教員に対しては、トレーニング目的・内容の説明を行ない、多くの教員から今後の参加について積極的な意見が聞かれている。

 

当会が開催する教員トレーニングにおいて、その後の各校の取り組みのひとつとして公開授業を促進している。公開授業ではトレーニングを受講した教員が学校で行なう通常のエイズ教育授業に他教員を招いた授業研究で、各校でのエイズ教育実践の促進と教員間の連携を目的としている。実施に至るには教員の自信や他教員の参加など困難が多いことが確認されているが、多くの校長も当会トレーニングを受講しているため、校長の理解と協力が得やすい学校から学校訪問や校長会の機会に働きかけを行なった。開催に至ったのは2校のみであるが、2009年も継続し、実施校を増やしていく。

 

 

5−2.基礎保健トレーニング(グニ郡・ムイ郡)

当会は、これまでヌー・ムイ・グニ郡の一般女性を対象として、基礎保健トレーニングを繰り返し実施し、地域で本人や子ども、家族・隣人が健康に暮らすためのプライマリ・ヘルスケアに関わる知識・技能を広範に伝え、参加者間の健康のための話し合いの機会をつくり、地域にもどって、夫や家族、隣人への情報提供と健康につながる活動の実践を促してきた。一方、健康に関わる知識、とくに性交渉や出産に関わる知識が、男性に直接伝えられないことの弊害が度々指摘され、当会のトレーニングを修了した女性や行政官から男性を対象とした基礎保健トレーニングを要請され、実施は長年の懸案であった。

 

このため、グニ郡において、2日間の男性対象基礎保健トレーニングを準区ごとに実施した。トレーニングは、男性がエイズや保健について理解し、家庭や地域での実践につなげることを目的とし、一般的な病気とその予防法、安全な水の確保、栄養、母性保護や性に関する病気、エイズの基礎知識などを学んだ。

 

2008年度は、9か所で実施し、125名が参加した。

 

また、ムイ郡では参加者の選出を始めた。

 

 

5−3.地域の健康のためのリーダーシップ強化

地域の保健に関わるいくつかの課題については、住民が対処意識を形成しにくい状況にあるものがある。エイズ問題については、エイズの脅威が強調されすぎて危機意識が高まりすぎたこと、また、性に関する問題を特定の人間関係のなかで話し合うことへの文化的な躊躇があることなどが、対処意識の形成の障害になっていると考えている。このことは、地域の保健問題は、地域のなかで保健知識・技能を深めていく「村の保健リーダー」を育成して、リーダーから一般住民へ情報が伝わっていくことのみでは解決につながらないことが示唆されている。対処意識が形成されにくい保健課題、例えば、エイズについては、この問題についての深い知識はなくても、エイズ問題を体系的理解することによって、日常生活のなかでHIV感染予防は可能であり、HIV陽性者との共存は可能であることを理解して、一般住民にエイズを学ぶことを勇気づけるリーダーシップの存在も重要であるといえる。これらの観点から、以下の取り組みを行なった。

 

(1)既存リーダーへの保健・エイズ・トレーニング

ヌー・ムイ・グニ郡において、地域住民が、エイズへの高い危機意識はあるが、逆に対処意識を疎外している状況に着目し、地域のリーダーが、住民がエイズに対処できるよう勇気づける役割を担えるようトレーニング・会議を実施した。

 

地域リーダーのなかでも、区長・助役から指名されている公的リーダーである村長老の役割に着目した。村長老が、行政から各村への情報伝達の責任をおっていること、逆に、村長老が不許可にしたり、暗黙の不同意の態度を示すことによって、当会が村のなかに入って住民との集会をもつことができない実態を考慮して、村長老との関係構築を優先課題とした。ヌー・ムイ・グニの3郡で村長老を対象にエイズ・トレーニングを実施し、236名が参加した。さらに、ムイ郡において、当会と助役の共同開催の形で、村長老を対象とした「地域の健康のための戦略会議」を開始し、2準区で開催し、24人の参加をえた。

 

また、ヌー・ムイ郡において、小学校を卒業していない地域住民に基礎教育の機会を提供している成人学級の教員を対象に、試験的にエイズ・トレーニングを2回実施し、計12名が参加した。

 

(2)保健リーダーの育成

当会がこれまで実施してきた女性対象の基礎保健トレーニング修了者に対して、エイズに関する追加的な情報や技術を提供するトレーニングを継続して実施し、ムイ郡で63名、グニ郡で193名が参加した。

 

また、基礎保健のほか、当会保健トレーニング修了者である伝統助産婦トレーニングや幼稚園教師への保健トレーニング修了者へのエイズ情報・知識を最新のものとし、地域の現状について話し合う会議を実施した。グニ郡においては、当初「地域の健康のための戦略会議」という名称で、当会トレーニング修了者と村長老の会議を6回実施し、67人が参加した。しかし、当会トレーニング修了者と村長老を同列に扱ったため、権威を重視する村長老の欠席、村長老に遠慮する修了者の欠席につながった、と分析し、上述の村長老を対象とした「地域の健康のための戦略会議」へと形を変えた。その後、ムイ郡においては、当会トレーニング修了者を対象としたものを「地域の健康のためのリフレッシュ会議」と名称を変更して、2回実施し、24人が参加した。

 

 

5−4.エイズ・母性保護学習会

前年度までの学習会は、地域住民組織または小学校から、当会へ開催申請を受けて、当会の専門家が出向いていた。学習会は、3時間程度で、エイズ問題の包括的説明とコンドームの実演を実施していた。しかし、エイズ問題に関する地域住民の危機意識と対処意識の乖離や、性に関する話題への躊躇などから、申請が低調であったり、申請しても学習会に参加しない状況が確認された。そこで、当会と村長老が協力して、「村訪問」を行ない、集まってきた住民に対して、エイズ学習会の意義を説明し、学習会開催の同意をえて、改めて別の日程で学習会を実施した。

 

また、これまで、エイズ学習会のみを実施していたが、地域のなかで妊娠出産に関わる女性・子どもの死亡が頻繁に聞かれることから、妊娠・出産のリスクに関する知識や、医療機関での産前・産後の検診の意義などを普及させる母性保護学習会も形成した。

 

(1)学習会形成のための「村訪問」

グニ郡において、エイズおよび母性保護学習会形成のための「村訪問」に新たに取り組み、7回の村訪問を実施し、計81人の地域住民の参加があった。

(2)エイズ学習会

ヌー・ムイ・グニ郡において、地域住民組織の申請によるエイズ学習会を13回実施し、236人が参加した。小学校の申請による保護者を対象としたエイズ学習会は、グニ郡において2回実施し、64人が参加した。また、村訪問をへて実施する公開エイズ学習会については、グニ郡において4回実施し、55人が参加した。

 

(3)母性保護学習会

ムイ郡において、新たに、地域住民組織の申請による母性保護学習会を1回開催し、16人が参加した。また、村訪問をへて実施する公開母性保護学習会については、グニ郡において2回実施し、30人が参加した。

 

 

6.スラム教育事業(ナイロビ市ムクル・スラム群)

 

休暇中の高校生を対象にしたムクル・スラム群での補習授業は1年間の活動停止をしたが、20088月に再開した。停止の理由として、前年の8月、12月の休暇は、年末の総選挙を控えた政治的緊張や騒動のために中止し、20084月は授業の計画を立てたものの、新連立政権に不満を抱いた人々による暴動が勃発し、間際になって中止を判断した。そして8月、12月に補習授業を実施。それぞれ66名の生徒と5名の講師、19名の生徒と3名の講師が参加した。多くは新たに参加した講師で、授業料の回収・学生の相談など授業以外の運営に取り組む意識は低いようであった。

 

 

7.国内活動

7−1.広報活動

7−1−1.定期刊行物・ウェブサイトなど

  会報「CanDoアフリカ」を4(4246)発行した。編集は佐久間典子理事が担当した。

  小冊子「CanDo10年のあゆみ」を発行した。編集は同じく佐久間典子理事が担当した。

  ウェブサイトを利用して、組織・事業紹介、会員・寄付募集、人材募集などを行った。お知らせや人材募集などは、ブログ機能などを活用して、できるだけタイムリーな情報発信に努めると同時に、各種報告書などを掲載し、情報の公開に努めた。

  会員対象メーリングリストおよび、国際協力関連のウェブサイトやメールマガジンやメーリングリストを利用し、イベント、インターン・ボランティア募集等の広報を行った。

  2007年末の総選挙後のケニアの混乱について、会員対象メーリングリストとウェブサイトにおいて、ケニアの状況を、国際ニュースやケニアにいるスタッフの情報をまとめて発信した。

 

7−1−2.イベントへの参加

下記のイベントに参加・出展し、理事・会員有志、ボランティアやスタッフによる活動紹介、パネル展示、ケニアの紅茶や民芸品の販売等を行なった。インターンやスタッフOBOGの国内広報活動への貢献を促進し、イベントボランティア用オリジナルTシャツを着用して、アピールを行った。また、イベント内のワークショップコーナーなどでは、講演やインターン座談会、人材募集説明会などを行なった。

2月に大阪で開かれたワン・ワールド・フェスティバルでは、活動紹介ブースの出展は行わなかったが、他団体と共同で、「国際協力の入り口」と「国際協力キャリアセミナー」において人材募集を目的とした団体紹介を行った。

 

  51718日:アフリカン・フェスタ2008(東京)

  1045日:グローバル・フェスタJAPAN2008(東京)

  122021日:ワン・ワールド・フェスティバル(大阪)

 

7−1−3.報告会等の開催

ケニアでの活動を報告し、また、活動へ関心のある人々への参加の機会づくりとして、国内での報告会やセミナーなどを行った。

  323日:講演会「CanDoがみてきたケニアの10年と今後」(永岡宏昌ほか/東京)

  518日:報告会「ケニアの小学校での保護者の役割」-教室建設からエイズ教育まで-(永岡/アフリカン・フェスタ内)

  7  5日:報告会「教育協力から取り組むエイズ問題」(永岡/東京)

  104日:インターン説明会(茂野綾美、高橋里佳、渡邉哲郎、山脇/グローバル・フェスタ内)

  1220日:インターン説明会(山脇/ワン・ワールド・フェスティバル内)

 

 

7−2.組織・財政基盤強化

7−2−1.夏・年末の募金キャンペーン実施

夏の募金および年末募金の呼びかけを行い、会員・寄付者を中心とした寄付収入向上に努めた。

 

7−2−2.募金サイトへの登録

より広く市民に支えられる会をめざし、募金サイト「Yahoo!ボランティア」と「NGOサポート募金」への登録を行い、インターネット上からの寄付収入が向上した。

 

7−2−3.インターン・ボランティア等の受け入れ

  ケニアでの活動に参加するインターンを募集し、6名をケニアへ派遣して、昨年から継続で滞在していた者と合わせて7名が、現地での研修を受けながら業務補助として活動に従事した。

  国内での活動に参加するボランティアを常時募集し、新たに1名の参加を得て、これまでのボランティアやスタッフ・インターンOBOGら合わせて5名が事務局業務への協力を行った。

 

7−2−4.会員

  323日に会員総会を開催し、2006年度活動報告・会計報告が承認され、2007年度活動計画・予算が決定された。

  総会と同日に、10周年の感謝のつどいを開催し、15名が参加し、交流の場をもった。ケニアのスタッフとも、双方向のビデオレターにより交流した。

  9名(一般会員4名、賛助会員5名)の新規入会者があり、9名の会員が会費期限切れによる退会となった。1231日現在の会員数は、111名(一般会員63名、賛助会員48名)となった。

 

7−2−5.役員

(1)以下の通り、理事会を開催し、主に以下の事項について審議を行った。

  323日:総会に付議すべき事項について

  712日:人事と今後の活動展開、東京事務所体制、組織基盤強化について

  1011日:事業、人事、財政、事務所移転などについて

  1228日:2008年度事業経過および2009年度の計画について

(2)年間を通じ、理事メーリングリストを利用して、事業と組織の運営について協議を行ったり、資金調達につながる情報収集や外部会議の情報共有など事務局のサポートを行った。
(3)インターンおよびスタッフの採用にあたって、理事が書類(一次)と面接(二次)の審査を行った。

(4)設立10年を機に、2008年度の年役員改選に向けて、理事会のあり方を検討した。

(5)監事は、2月に内部監査を実施したほか、年間を通じて事業および組織運営の監督・相談対応を行った。

 

7−2−6.他団体との連携・ネットワークの活用

主に、国際協力NGOセンター(JANIC)正会員として得られる機会を活用し、当会および日本のNGOにとって、情報収集や一般市民への認知度向上、組織・財政基盤強化につながるよう、政府機関・他団体との連携やネットワークの機会に参加した。

129日:第80NGO-JICA連携事業検討会

(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)「シナジー」137号 正会員Now”「治安悪化という状況で認識したインターネットと携帯電話の力」

311日:81NGO-JICA連携事業検討会

314日:2007年度第4NGO-JICA協議会

66日:平成20年度外務省NGO連携無償効果検証プログラム

8月:()リコー返品在庫品の寄贈

1126日:NGO外務省定期協議会

 

 

7−3.外部の会議・ネットワーク・調査研究等への参加・協力

当会がこれまでの活動から蓄積してきた経験や知見を、内外に公開したり、政策提言や国際協力の改善などに役立てたりするため、外部講演等への協力や講師派遣、各ネットワークへの参加、調査研究などへの協力、出版物への寄稿・取材協力、他団体・一般市民からの相談業務などに、できる範囲で対応した。

 

7−3−1.外部講演等への協力・講師派遣など

  316日:日本国際保健医療学会東日本地方会「ライフスキル教育プロジェクトマニュアル(エイズ教育の可能性)について」(永岡)

  327日:明治学院大学国際平和研究所公開研究会「ケニアの子どもたちの今 〜住民参加の小学校作りを通して〜」(永岡)

  423日:「世界の子どもに教育を」キャンペーン「世界一大きな授業」(山脇)

  513日:仙台市立六郷中学校 総合学習の受け入れ(山脇)

  1023日:鳩ヶ谷市立里中学校 総合学習の受け入れ(山脇)

 

7−3−2.政策提言やネットワークへの参加

  教育協力NGOネットワーク(JNNE)会員団体、運営委員として、JNNEが行う調査研究、政策提言活動に参加した。

  TICAD W NGOネットワーク(TNnet)会員団体として、5月に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD W)に関連する外務省との定期協議会や、関連イベント、会議当日のアフリカと日本のNGO活動の後方支援に参加・協力した。

  G8サミットNGOフォーラム に、貧困・開発ユニットサポートNGOとして参加登録をしたが、実際の活動にはあまり参加ができなかった。7月の北海道洞爺湖サミットに向けて同フォーラムが行った「100万人のたんざくアクション」に協力した。

 

7−3−3.調査研究などへの参加・協力

研究者や大学生の調査研究の依頼などに、可能な範囲で協力した。

 

7−3−4.出版物等への寄稿・取材協力

「国際開発ジャーナル9月号」(永岡)(国際開発ジャーナル社 発行)

 

以上