2010年
6月
[第51号] ナイロビ事務所の強盗事件・国民投票への対応
代表理事  永岡 宏昌

 530日、日曜日の夕方、当会ナイロビ事務所(兼、宿舎)が、銃を持った強盗に襲われました。居合わせた4人の日本人スタッフ・インターンに危害はなかったものの、浴室に閉じ込められ、現金ならびにコンピュータなどが奪われました。

強盗の発言は、当会のムインギでの活動・行動を見知っている者であることが示唆されるものでした。利用することがあるレンタカー会社の運転手が強盗の車に同乗していた、との門番の証言から、運転手が逮捕されました。しかしその後、門番の行方がわからなくなりました。他に証言者もあらわれず、「見知っている者」に関する情報も入らないため、事件の真相はまだ分かりません。5月になってから、ムインギ町では、当会スタッフが被害にあった窃盗を含め、複数の強盗事件が発生。そのため安全対策としてムインギ町での宿泊を避けていたのですが、残念なことにナイロビ事務所が被害にあいました。

事件後の対応として、そのときは不在だったスタッフもともに全員への臨床心理士によるカウンセリングを、日本からの電話で行ないました。また、治安対策向上のための緊急出張として、64日から26日まで明城徹也理事をケニアに派遣しました。その最中、ナイロビ便りp.2参照)での報告のように、国民投票に関連して社会の状況が不安定になりました。連鎖し一般治安の悪化のリスクが高くなったと分析しました。リスクが現実のものとなった際に、急な避難を実施することによって事業が止まる事態を避ける対応を考えました。ケニア人スタッフ・専門家のみで、一定期間事業が継続できる体制を準備・形成して、日本人スタッフ・インターン全員がケニアから退出することを選択しました。そのため、629日から77日まで永岡がケニアに出張しました。

ムインギ町手前のグタニ町にケニア人スタッフ・専門家の15名全員と、日本人スタッフ・インターンが集合。7月から8月下旬までの事業実施の詳細スケジュールを作り、報告の取りまとめ方と電子メールによる通信方法、週ごとの車両スケジュールと人員配置の確定方法、給与・手当て・その他経費の決済方法などを決めました。

 8月中旬、永岡を含むスタッフがケニアに戻って、事務所の再構築と、治安・安全体制の強化を図りながら、事業を継続していく予定です。この状況に対応することで、ケニア人スタッフ・専門家が、自らの事業運営能力をより向上させていくことを信じています
3月
[第50号] 2009年度を振り返り、2010年度を考える
代表理事  永岡 宏昌

2009年度は、ケニアは深刻な干ばつ状況となり、住民は食糧援助や水汲みに関連した拘束時間が増え、出稼ぎが目立ち、当会事業への住民参加に、少なからず影響を及ぼしました。

その中で、教室建設では、グニ郡3校での教室が完成しました。うち2校は小さな新設校で、資材収集の段階からきめ細かに協力し、少数の保護者ながら、短期間のうちに教室を完成させることができました。

 小学校のエイズ教育では、教員研修の第3課程を形成することができ、研修とエイズ公開授業・子ども発表会までの一連の流れが完成しました。

住民への保健・エイズ教育では、男性対象の基礎保健研修を実施しました。安全な妊娠出産のための情報を提供する母性保護とエイズについては、研修参加者から周りの住民へという情報の共有が難しいところがあります。村長老の協力を得て、当会専門家が村々で公開学習会を実施することで、住民の参加が進みました。

また、幼児育成では、多くの幼稚園で成長の記録作りが定着していることを確認し、新たな幼稚園では、個別研修を通した保健活動の促進を行ないました。

環境では、辺縁の山肌にある情報から遠く、土地荒廃の危険が高い村々を定期的に訪問して、環境学習会を実施し、定着の状況を確認しました。また、小学校1校での環境活動形成に協力しました。

2010年度は、教室建設については、保護者の学校運営能力向上にも並行して取り組み、新設の6小学校で初期段階から協力して、建設計画、資材収集など準備段階を終えることを目指します。

住民への保健・エイズ教育では、エイズと母性保護学習会の継続実施と、地域の保健リーダーを再発掘して、エイズ学習会を担える人材の育成に努めます。

また、小学校でのエイズ教育は、教員研修の継続とエイズ公開学習会、子ども発表会の促進を通して、教員と保護者が、知識に基づいて子どもをエイズから守る社会形成について話し合う機会の充実を目指します。

幼稚園では、個別訪問での保健活動の活性化の継続と、幼稚園教師へのエイズ教育研修を行ないます。

環境では、辺縁地域の村での個別ニーズに対応した柔軟な環境・保健活動を展開。また小学校での環境活動の形成に努めます。