マラウイでの活動











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      マラウイでの活動

CanDoは、2015年に南部アフリカのマラウイ共和国において調査を始め、2018年から活動に向けた準備を進めました。

2019年1月28日、外務省日本NGO連携無償資金協力(N連)による「パロンベ県教育施設改善に関する初等学校保護者の参加意識の強化事業」を開始し、2020年3月31日に終了しました(詳細は後述)。

そして、2021年2月10日、次の段階の「パロンベ県初等学校保護者参加による教室建設事業」がN連の資金協力を得て始まりました。

ブログ CanDo news に近況報告を掲載します。






 
        マラウイに関わる理由

人口(約1,600万人)の8割近くが小規模農家という農業国で、一人当たりの国民総所得が320米ドルで後発開発途上国に分類されます(ケニアは860米ドル)。

人間開発指数―保健、教育、所得に関して、ある国における平均達成度を測る指標―は187国中170位(ケニアは145位)です。

2015年まで展開された「万人のための教育(EFA)」により、初等学校に入学する子どもは大幅に増加しましたが、中途退学する生徒数が多く、EFAの達成度は低い状況です。

大人のHIV陽性率が8.8%(ケニアは6.1%)で、8年制の初等学校の平均就学年数は4.2年(ケニアは7年)、と保健、教育の問題はケニア以上に深刻です。



 
        パロンベ県のこと

南部にあるマラウイの産業経済の中心地、ブランタイヤ市から東へ約100キロにあります。面積は1,633平方キロメートル(香川県が1,877)、人口は313,129人(2008年国勢調査。2016年推計は383,273人)です。

大人の初等教育未修了の比率は84.9%(全国70.0%)で全国1位です。
初等学校の生徒数は144,981人で、うち1年生は31,788人、8年生は7,458人。
各学年で20%ずつ生徒数が減り、中途退学5,853人、留年34,788人が県教育局で記録されています。

多くの子どもが初等教育を修了できない要因には、さまざまな問題があります。貧困のために通わせられないこと、労働力としての期待、早期の結婚、教育環境や教材が不十分なこと、教員の課題などの中でも、教室の不足は深刻です。

学校数は88校で、2,526教室が必要なところ、恒久的に使用できる教室は947教室です。1教室あたりの生徒数は、政府が推奨する60人をはるかに超える153人となっています。

多く見られる、屋外や草ぶきの仮設の教室では、降雨時には授業ができず、家に帰ることになります。低学年の恒久教室では、机やいすを入れられず、床に座って、肩がつくほど詰め合って授業を受けるのが一般的です。高学年になって生徒数が減少することで、教室に机やいすの配置が可能になります。


早期結婚については、パロンベ県における最初の結婚年齢の中央値は17.0歳(全国18.3歳)で1位、最初の性交年齢は16.6歳(17.3歳)で5位、最初の出産年齢は18.0歳(19.1歳)で1位となっています。また、性に関する健康の面で、大人のHIV陽性率は15.5%で全国3位となります。


初等学校で―
教育施設改善に関する保護者の参加意識を強化するために
研修を実施した後、倉庫を建設しました
<終了>

■行政関係者との合意形成

マラウイにおける行政機構は、県―伝統首長区(6)―集合村(43)―村(420)、教育機構は、県教育局―教育区(9)―初等学校(88)となっています。

パロンベ県知事とは2018年9月に活動の覚書を締結しました。

2019年2月、県執行委員会の会議で当会の事業の説明を行ない、承認されました。
県知事および関係局長との協議で次の点について合意しました―学校訪問には教育局と地域開発局の行政官が同行、1回目の訪問前に伝統首長を訪問、そして候補となる初等学校は教育局が選定(教育区ごとに2校で18校)。

3月、教育局と地域開発局の行政官とともに6つの伝統首長区の長を訪問。継続的な協力および保護者が困難に直面した際の支援について合意しました。


■初等学校の一般保護者を対象に
 子どもの教育を保障する知識と意欲の向上研修を実施


2019年3月、教育局と地域開発局の行政官とともに、候補校18校の1回目の訪問を行ない、事業を説明。学校関係者とのやり取りや学校の状況から、教育区ごとに1次候補校の9校を決めました(その後、残る9校のうち、土砂崩れの被害のおそれから1校、ニーズの点から1校を外して、2次候補校は6校になりました)。

3月~4月、1次候補校9校に2回目の訪問を行ない、事業への理解と合意を確認。学校として保護者総会を開いて、事業について話し合うことを合意しました(2次候補校では6月から)。

保護者総会で事業について決めた学校に3回目の訪問。学校の地域の全ての集合村の長(チーフ)と合意ができているか、確認しました。

一般保護者向け研修に関する覚書の内容について、県知事と協議。
7月に1次候補校9校で締結が完了。関係機関と協働で3つの研修を実施しました。

子どもの教育(県教育局)/参加型学校運営(県地域開発事務所)/建設技術と施工管理(県公共事業局)

■建設リーダー研修と倉庫建設の実践
 

一般保護者向け研修を完了し、50人ほど建設リーダー候補を選んだ学校と、建設リーダー研修と倉庫建設の実践について合意する2つ目の覚書を15校で締結。
建設リーダーを対象に6回の研修を行ない、13校で完了しました。

現地資材と記録/SSB(土壌安定化レンガ。焼成レンガに代わるもの)製作/活動計画/建設技術(2回)/施工管理
活動計画は教育局、それ以外は公共事業局と協働で行ないました(主管は教育局)。

小規模施設として倉庫造りを行なう前に、その次の段階の教室建設でも大量の水が必要となるため、十分な数のSSBの準備ができた学校で実践研修を行なった後、貯水槽を造りました。

2019年12月から保護者による倉庫造りを進め、2020年5月までに13校で完成しました。


子どもの健康を守る保護者の活動を形成します


2019年、早期結婚・妊娠の課題を解決するために、まず、初等学校の保護者が子どもの成長と健康、性の問題に関する知識を身につけ、次に保健活動を形成していく、という学校保健の取り組みも始めました。公益財団法人 日本国際協力財団(JICF)の助成により、対象は1教育区です。

同年10月、県教育局との協議で、教育局長がムロンバ教育区を推薦。ムロンバ教育区の教育官と研修内容と形態について話し合いました。教育官から初等学校の保護者リーダー(学校運営委員会、PTA、マザーグループなど)に事業について伝えることを合意しました。

コロナ禍の2020年9月、助成団体から2022年3月まで実施期間を延長が承認されました。
9月から10月、ムロンバ教育区の初等学校全10校を訪問し、当会の事業を紹介し、基本的な情報を収集しました。

2021年4月21日更新