安井 弘美

「インターンを終えての感想」


6ヶ月間インターンとして主に学校建設事業に従事させていただいたことで、多くの貴重な経験をさせていただきました。これまで国際協力に携わりたいと思いながらも机上での勉強しかしていなかったのですが、国際協力の現場に身を置く経験をさせていただいたことで、これまでは想像もできなかった現場の様子が分かった(自分の目で見、現地の人と対話した)ことが大きな収穫でした。今後も引き続き何らかの形で国際協力に関われないかと模索していますが、その際の原体験として貴重な経験をさせていただくことができたと思います。学んだことや、業務を行なう上で気をつけたことについて書かせていただきたいと思います。

第一に、地域と接する際に、自分がどのように写っているかを意識して業務に取り組むことは重要だということを学びました。同じことを話していても外国人と現地スタッフが話すのでは現地の人が受ける印象が異なるのではないかと思いました。専門家ガブリエルから地域との関わり方を学びました。彼がインストラクションを出す時、上からものを言うのではなく地域の人と対等な立場で話していると感じました。彼のこの姿勢から、話すときの態度や姿勢は重要だと感じました。特に自分は外国人なので普通に話しているつもりでも必要以上にきつい口調で言っているように聞こえることがあったりするのかもしれない、ということを頭に置きながら地域と対話することを心がけていました。

第二に、現地スタッフと接しながら、その地域の人の特性や考え方、重視するものを知ることは一緒に仕事をする上で重要だと思いました。カンバ人の特徴の一つとしてきれい好きということがあると思うのですが、ある時私が現地スタッフに泊まりの出張があることを事前に伝えることを怠り、彼が着替えなしで数日過ごさなければいけなかった時、彼はどうしてそんな重要なことを伝えてくれないのか、と不信感を露にしました。互いに気持ちよく仕事をするために、相手が気にすることや重視することを知っておくことは重要だと思いました。これは現場に入らなくては到底気づかなかったことだと思います。

第三に、普段気をつけていたことは、プロジェクトの目的(地域の人々の能力向上)を頭の片隅に置いていたことです。日常の細かいロジスティックをしていると何のためにそれをやっているのかという目的を見失いがちになってしまいましたので、いつも目的を思い返しながら業務を行なっていました。地域の人々の能力向上という目的に賛同できたことが、辛いことがあっても業務を続ける原動力だったのかもしれません。CanDoが取るアプローチには全て意味があると思いますので、その意味を自分自身に問いながら事業に取り組みました。例えば資材管理について倉庫管理者および在庫管理者の選定する仕組みにしていること、またお金の貸付において会計係を置いていること、帳簿の形式を指定していることなど、全て意味があって行なっていることだと思います。作業訪問する際に、どのようなアプローチを取ったり問いかけをすれば事業目的である「地域住民の能力向上」につながるのか、ということを考えながら取り組みました。資材管理について、初めは台帳を細かくチェックして(サインがないなど)いたのですが、必要以上に細かいチェックをして学校側に指摘をすることに意味があるのかと疑問に思いました。大事なことは大まかな資材の流れが管理できるということや、そういった管理の方法もあるということを学ぶことであり、サインが抜け落ちているなどの細かいことは重要ではないのではないかと思いました。このことに気づいてからは、資材管理に関するアプローチについて、住民が「自分たちにもできる」、「適切に管理をしたら自分たちで抜き取りを防ぐことができた」、「こういう資材管理の方法もある」、といった気づきや自信を持つ方向にもっていくことを頭に置きながら各回の作業訪問で住民に問いかけをするようになりました。短期間に大きな変化が現れることは難しいと思いますが、一人でも気づいたり自信を持つ住民がいればそれでも大きな前進なのではないかと思います。

第四に、スタッフの皆さんからいただいたアドバイスや他のインターンとの議論を通して気づいたり学ぶことが多かったです。スタッフの皆さんと話すことで、自分が人と接するときの態度が適切でない場合があることに気づいたり、何のためにインターンに来たかという目的を再認識することができました。また、他のインターンと話すことで普段関わっている学校建設作業の意義や目的を改めて考える機会になったり、学校訪問時のアプローチを考える際の参考になったりと得るものは大きかったと思います。

難しかったことについては、第一に職場と住居が同じという状況でオンとオフの切り替えをすることが困難でした。自分にとってその切り替えが重要ということに気づく良い機会だったと思います。一人の時間を確保したり、仕事と全く関係ないことをすることで気分転換をすることが自分にとっては重要だということに気づきました。

第二に様々な要因を踏まえて現場での判断をすることが(特に初期のころは)困難でした。日本で仕事をする場合はある程度全体が見えており想像がつくのですが、ケニアの現場では判断をする時に自分では気づいていない重要な要因があるのではないか、と考えすぎてしまい判断に時間がかかったり判断するのが怖かったりしました。しかし、調整の仕事は唯一絶対の正解があるものではないと思うので、「自分は○○という理由で××と判断した」という判断の根拠が言えればそれでよいのではないかと思いました。それに気づいてからは、失敗を恐れず調整業務を行なうことができたと思います。

最後に、今回のインターンで学ばせていただいた上記のことを活かし、今後も何らかの形で国際協力に携わることができればと思います。半年間お世話になりまして本当にありがとうございました。